2112No.67

KAMAちゃんの「廃棄物ひとくちコラム」

 

警察白書から(廃棄物処理法違反検挙件数)

 

警察庁は、毎年国内における犯罪検挙件数について取りまとめを行い、毎年7月頃に前年度結果を「警察白書」として公表しています。

その中には、「廃棄物処理法違反者の検挙状況」が掲載されていますので、過去の白書から得られた情報と併せて見てみたいと思います。

 

次表は、最新データと過去の白書から抜粋したデータを整理し作成したものです。

表:廃棄物処理法違反の検挙状況

※:焼却禁止(野焼き禁止)規定が法に追加されたのが平成12年で14年白書には

本項の分類がされておらず、その他に包括されている。

 

この結果から以下のことが判ります。

近年の検挙件数は、5千件を超えており、若干増加傾向

(解説)県別の検挙件数は公表されていませんが、単純に47都道府県で割ると、1県当たり120件超となり、決して少ない数ではありません。

違反内容で見てみると、ほとんどが不法投棄か野焼き

(解説)近年の検挙内容は、不法投棄と野焼きがほぼ50%ずつを占めており、無許可営業や処理委託基準違反といった検挙件数は、総数の1%に達していません。

不法投棄検挙者数は減少していない

(解説)この表の中では、昭和55年の3,848件が最大であり、一旦減少した後、再び増加傾向にあって、35年前と同じくらいの検挙件数に戻ってしまいました。ただし、投棄物は産業廃棄物の投棄件数が激減しているのに比べ、家庭ごみを中心とした一般廃棄物の投棄件数が増加していると言われています。

焼却違反(野焼き)の検挙件数も多い

(解説)法律にこの規定が追加されたのは、平成12年ですので、昭和の時代の検挙はありません。平成14年度白書では焼却禁止検挙件数が集計されていませんので推測するしかありませんが、その他586件のうち500件程度であったと思われます。そこから始まり直近の2,800件余まで不法投棄と並ぶ大変に多い検挙件数となっています。

委託基準違反や無許可営業は激減

(解説)昭和の時代には年間700件以上あった委託基準違反は、近年では50件以下に減少していますし、無許可営業も300件程度あったものが同じように激減しています。背景として契約書作成義務化、管理票の交付義務化、処理業許可基準の強化、罰則の強化等の法改正を重ねる中で、特に排出事業者に対する適正処理意識向上の成果が表れたものと考えます。

 

 以上警察白書から読み取れる廃棄物処理法違反者の検挙状況ですが、読者の皆様におかれましては、他人事と思わず、一層の法遵守に努めていただきますようお願いします。